水分補給を「なんとなく」で済ませていた15年間
北海道鉄人です。正直に書く。筋トレの記録、ピーエフシーバランスの管理、体重と体脂肪率の推移。これらは15年以上、一日も欠かさず記録してきた。しかし水分摂取量だけは、つい最近まで「なんとなく」の領域に置いていたということ。
きっかけは昨年冬の健康診断だった。腎機能の指標であるeGFRが前年比で5ほど下がっていた。基準値内ではある。ただ、数値が動いた以上は原因を探るのが北海道鉄人のやり方。主治医に相談したところ、まず言われたのが「水分摂取量を把握していますか」という問いだった。把握していなかった。15年間の記録の中に、この項目だけが抜けていたという矛盾。
加齢と水分代謝——数字で見る60代の身体
段階的に整理する。加齢に伴う水分代謝の変化には、いくつかの生理学的根拠がある。
- 体内水分量の低下: 若年成人の体水分率は約60%。60代では約50〜55%まで低下する(日本老年医学会ガイドライン参照)
- 口渇感の鈍化: 視床下部の浸透圧受容体の感度が加齢で落ちる。喉が渇いたと感じた時点で、すでに体重の1〜2%相当の水分が失われている場合がある
- 腎臓の濃縮能低下: 尿を濃縮して水分を保持する機能が衰えるため、同じ水分摂取でも排出量が増える傾向
つまり60代の身体は「水分を蓄える容量が小さく、失っている自覚も薄く、出ていく量は多い」という三重の不利を抱えている。これは本質的な問題だという認識。
北海道鉄人が実践している水分管理の工程
丁寧に数値化していった。現在の北海道鉄人の水分管理はこうなっている。
基本設定
- 体重: 72kg
- 目標水分摂取量: 体重×35ml=約2,520ml/日(厚生労働省「日本人の食事摂取基準2020」の成人目安を参考に、腎機能と活動量で微調整)
- トレーニング日の追加分: 発汗量に応じて+500〜800ml
具体的な配分
- 起床直後: 常温の水を300ml
- 朝食〜昼食の間: 400ml(コップ2杯を目安に分散)
- 昼食〜夕食の間: 500ml
- トレーニング中: 200〜300mlを15分おきに少量ずつ
- トレーニング後: 体重減少分×1.5倍を2時間以内に補填
- 夕食〜就寝: 300ml(就寝2時間前までに摂り終える)
- 食事由来の水分: 約700〜800ml(味噌汁、煮物など)
計測には1L容量の目盛り付きボトルを2本使っている。朝に2本を満たし、寝るまでに空にする。これだけのこと。製造現場の在庫管理と同じで、入りと出を可視化すれば管理は難しくない。
冬の北海道という特殊条件
旭川の冬は、水分補給において見落とされがちな要素が重なる。
- 室内の湿度低下: 暖房を焚き続けるため室内湿度は20〜30%まで下がる。不感蒸泄(自覚なき皮膚・呼気からの水分喪失)が夏場以上に増える場合がある
- 寒冷利尿: 寒さで末梢血管が収縮し、中心血液量が増加する。身体はそれを「水分過多」と誤認し、尿量を増やす
- 喉の渇きを感じにくい: 夏と違い発汗の自覚がないため、意識的に飲まなければ1日1L以下で過ごしてしまうことも珍しくない
妻と二人、冬場はリビングに加湿器を置き、湿度計で40%以上を維持するようにしている。除雪作業の前後には必ず200mlずつ飲む。これも記録に残すようにしていった。
「もっと飲め」ではなく「把握しろ」という結論
水分補給の話になると「とにかくたくさん飲みましょう」という方向に流れがちだが、そうではない。過剰な水分摂取は低ナトリウム血症のリスクを上げる。特に腎機能が低下傾向にある60代以降は、上限にも気を配る必要がある。
大切なのは、自分が1日に何ml飲んでいるかを把握すること。それだけ。
北海道鉄人は15年かけて身体のあらゆる数値を記録してきたが、水分だけは抜けていた。この欠落に気づいてから半年、eGFRは前回値まで戻り、トレーニング後の回復感も静かに改善した。劇的な変化ではない。ただ、記録と把握がもたらす再現性のある改善だったという気づき。
派手なサプリメントも特別な水も要らない。目盛り付きのボトルと、毎日の記録だけでいい。身体は、丁寧に扱えば丁寧に応えてくれる。60年かけて確認してきたことの、また一つの共有。
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