スコアカードは「身体の決算書」だった
なごやキャリア投資家が、ゴルフを始めたのは30代前半だった。取引先との付き合いが入口で、動機は純粋とは言えない。しかし30年近くスコアを記録し続けた結果、そこには身体の変化がそのまま刻まれているという洞察に達した。
具体的な数字を振り返る。
- 30代:平均スコア 105前後。飛距離は出るが再現性がない
- 40代前半:90台が安定。スイングを「感覚」から「記録」に切り替えた時期
- 50代後半:再び100を超える日が増える。飛距離の低下が顕著
- 60歳の今:95〜105のレンジ。飛ばない前提でコースマネジメントを組み直した
面白いのは、40代で最もスコアが良かった理由が「体力のピーク」ではなく「記録と分析の習慣が定着した時期」と重なる点だ。身体が先に衰えても、数字を見て戦略を変える力があれば成績は維持できる。これは資産管理とまったく同じ構造だという本質にしゅうれんしていった。
飛距離の低下と「入金力の減少」は同じ問い
50代後半、ドライバーの飛距離が明らかに落ちた。以前は230ヤード出ていたものが200ヤード前後になる。最初は道具で補おうとしたが、本質的な解決にはならなかった。
これは定年前後の資産運用と呼応する。
- 現役時代の給与という「飛距離」は確実に落ちる
- 道具(レバレッジや高リスク商品)で補おうとすると、別のリスクが生まれる
- 本当に効くのは「コースマネジメント」、つまり戦略の再設計
なごやキャリア投資家がゴルフで実践したのは、パーオンを狙わずボギーオン狙いに切り替えるという判断だった。資産運用でも同様に、ふくりこうかで攻める局面から、取り崩し率を年3.5%以内に抑える守りの設計へ移行した。飛距離が落ちた事実を認め、スコアの組み立て方を変える。この身体知がポートフォリオの出口戦略にそのまま転用できたという経験が呼応し、今の運用方針が形づくられた。
記録をつける人間だけが「衰え」を資産に変えられる
ゴルフスコアを30年記録してきたことで、ひとつ確信していることがある。数字は嘘をつかないが、数字だけでは足りないという問いを保ち続ける姿勢が大切だということだ。
スコア「98」という数字は同じでも、30代の98と60歳の98では中身がまるで違う。若い頃はOBを2回打っても飛距離でカバーしていた。今はOBをゼロにして、アプローチとパットで拾う98だ。
資産運用も同じ構造がある。
- 同じ年間としまわり4%でも、元本500万円と5,000万円では意味が違う
- 同じ月5万円のはいとうでも、生活費の50%か10%かで安心感が変わる
- 数字の「文脈」を読めるかどうかが、けいりの経験で鍛えた最大の武器
妻には「またゴルフの話をお金に結びつけている」と言われる。しかし身体の変化を数字で観察し、戦略を組み替え続けるという行為は、ゴルフも資産管理もまったく同じ原理だという概念をそうじょうに積み重ね、30年かけてようやく言語化できた。
けんじつに記録をつけ、身体感覚の変化を数字に変換し、次の一手を打つ。派手さはないが、これが60年かけて三人がたどり着いた方法論である。
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