記録はなぜ「ノート」でなければならないのか
スマホのアプリで管理している人も多いと思う。まあ、それで続くならそれでいい。ただ、俺の場合はな、紙のノートに手で書くことにこだわってきた。
理由は単純で、書く速度が思考の速度に近いからだ。アプリは入力の型が決まっている。身体の感覚というのは、ぐちゃぐちゃのまま記録しないといけないことが多い。「なんとなく左膝の内側が重い感じ」とか、「昨日より握力が弱い気がする」とか、そういうノイズのような感覚こそが後から見ると意味を持つことが、15年続けてきてよく分かった。
数字だけが記録ではない、ということへの気づきが共有されると、ノートの使い方がぐっと変わる。
俺が実際に書いていること——フィールドノートの中身
ノートは1日1ページ、A5サイズ。書く項目はだいたい以下のとおりだ。
- 日付・気温・体重・たいしぼうりつ(朝一、起床後に計測)
- 前日の睡眠時間(時間単位で記録)
- その日のトレーニング内容(種目・重量・レップ数・セット数・インターバル)
- 身体感覚メモ(自由記述、2〜3行)
- 食事のマクロバランス(タンパク質・ししつ・たんすいかぶつのグラム数)
特に重要なのが「身体感覚メモ」だ。ここはあえて型を決めていない。たとえば去年の冬、旭川市は最低気温がマイナス25度近くまで下がった日が続いた。そのとき俺のノートには「ひんやりした空気の中でのスクワット、関節の動き出しが明らかに重い。ウォームアップを10分延長した」と書いてある。その記録が翌年の冬のプログラム調整に直接役立った。数字で見ないと分からんべさ、と言いたいところだが、数字ではとれない情報も拾っておくことの誠実さが共通認識として結実した、というのが俺の考えだ。
ノートを「続ける」ための仕組みづくり
続けることが全てだ。どんなに精密な書き方でも、1週間でやめたら意味がない。俺が15年続けられた理由は、仕組みをシンプルに保ったことに尽きる。
まず、ノートはトレーニング器具の横に置く。場所を固定することで、「書く」という行為をルーティンに組み込む。書き忘れた日は翌朝に「前日分」として必ず補完する。空白を作らないことへのこだわりは、製造現場での品質管理の感覚とまったく同じだ。工程に抜けがあれば後でトレースできなくなる。記録も同じだと思っている。
続けてりゃ身体が答え出すから。まあ、それだけのことなんだが、それが一番難しい。フィールドノートを地味に積み上げていくことの必然性と、その先に見えてくるものを、信じてほしいと思う。
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