先日、学級の畑で小さな出来事があった。
土を触るのが苦手だった子がおってね。
毎回、軍手を二重にして、それでも顔をしかめとった。
自分はずっと「まぁ、ぼちぼちでええよ」と声をかけるだけじゃった。
ところがある朝、その子がふと軍手を外した。
ミニトマトの茎の根元を、素手でそっと触っとった。
「先生、なんかここ、昨日よりちょっと太い気がする」
その一言に、自分は思わず目を細めてしもうた。
ええね、それ。ほんまにそれよね。
数値で測ったわけやない。
誰かに教わったわけでもない。
自分の手で、昨日との違いを感じ取ったんよね。
畑の活動を授業に取り入れて何年か経つけど、自分が大事にしとるのはこの「変化を感じ取る力」じゃけぇ。
水やりの量を記録させたり、成長をグラフにしたりする方法もある。
それはちょっと、うーん…否定はせんけど、自分の学級ではまず「手で確かめる」を先に置いとる。
土が乾いとるか、湿っとるか。
葉っぱが昨日より硬いか、柔らかいか。
茎がどっちに傾いとるか。
こういう小さな問いは、手を使わんと生まれんのよね。
焦って「観察カードに書きなさい」とやると、子どもは見えたものしか書かん。
でも手で触ると、見えんものにも気づく。
その順番が、自分にはすごく大切に思える。
もちろん、うまくいかん日もある。
苗をぽきっと折ってしまって泣く子もおる。
そのとき自分も一緒にしゃがんで「うーん、折れてしもうたね」と黙る。
でもね、その経験がまた次の「そっと触る」につながるんよ。
力加減を言葉で教えるより、ずっと深く残る学びじゃけぇ。
畑仕事は、結果が出るまで時間がかかる。
子どもも大人も、待つのがしんどい。
けど、手を動かしながら待つ時間には、ちゃんと学びが詰まっとる。
まぁ、ぼちぼちやけどね。
自分にできるのは、その子の手が動く瞬間を見逃さんことくらいじゃけぇ。
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