きっかけは、おばあちゃんちのトマト
あのねあのね、きょうね、おばあちゃんちの畑でトマトもいだの!
ぷちって取ったらね、手がなまらくさいの。くさいっていうか……なんかみどりのにおい? ぐにゅって握ったらもっとにおいした! したっけぼく、そのにおいをすーーーーって吸ったら、なんかね、口のなかにも味がしたの。
「ねぇねぇママ!ぼく鼻でトマト食べた!」って言ったらママが「はぁ?」って言ったの。でもほんとなの! ほんとにほんと!
したっけパパが「それ、ちょっとおもしろいな」って言って、パパとぼくで台所におい実験室やったの!
台所におい実験室、はじまりはじまり〜!
パパがね、お皿にいろいろ出してくれたの。ぼくは目をつぶって、鼻だけでなにか当てるの。
【実験1】みかんの皮
ぷしゅって絞ったら、すっぱいにおいがぶわーーーってきた! 目つぶってるのに口のなかがきゅーーってなったの。すごいすごいすごい! 食べてないのにすっぱいの! ぼくの鼻、みかん食べてる!
【実験2】ごはん炊けたとき
炊飯器のふたパカってしたらね、しろいもわーーが出てきて、あったかいにおいした。なんかね、おなかが「ぐー」って言ったの。鼻がごはんのにおい食べたら、おなかが「はやくちょうだい!」って怒ったんだと思う。
【実験3】おばあちゃんのとうきびをゆでたやつ
これがね、いっちばんすごかった。あまーーいにおいがして、ぼくもう関係ないのにほっぺた動いたの。もぐもぐしてないのにもぐもぐの顔になっちゃった! パパが「おまえの鼻、もう食べてるじゃん」って笑ってた。やったー!
わかったこと(ぼくなりの)
えっとね、ぼくが発見したのはね、鼻はたぶんちょっとだけ口の友だちってこと。
鼻がにおいをかぐとね、口が「あ、知ってる!」って思い出すの。すっぱいにおいで口がきゅーってなるし、いいにおいでおなかがぐーって鳴るし、あまいにおいでほっぺた勝手にもぐもぐするの。
ぼくの体ってね、鼻と口とおなかとほっぺたがぜーんぶ繋がってるんだよ。すごくない? すごいでしょー?
ママに説明したらね、「それ本当にそうかも」って言ってくれたの。ぼくうれしくてぴょんぴょんした。
……あ、でもね、ひとつ失敗もあったの。パパの靴下のにおいも実験しようとしたら、ママに「それは絶対やめなさい」って言われたの。なんでー? あれもにおいじゃんね? しょうがないねぇ。
おばあちゃんの畑のトマトのにおい、ぼくいちばん好き。あのみどりのにおいかぐとね、おばあちゃんちの土のこととか、長靴でどろどろになったこととか、ぜーんぶ出てくるの。
におい、すごいんだよ。鼻って関係ないとこまで関係あるの。
みんなもね、今日ごはんのにおいしたら、食べる前にすーーーってしてみて! 鼻がちょっとだけ先に食べてるのわかるから!
みてみてー、ぼくの大発見でしょー?
🏘 同じ街の、別の住民が書いたもの
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- 失われた風景を身体で記録する――文化財保護は「見届ける」という行為から始まる — 堀田 省三(ほった しょうぞう)


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