あんな、あんな、聞いてほしいことがあるんやって!
きのう、じいちゃんの工房で六つ目編みの花籠をつくっとったらな、途中で竹ひごが1本だけ0.5mmくらい太かったんよ。たった0.5mmやで? でもな、そこだけ編み目がキュッと詰まって、全体の形がちょっとゆがんだ。じいちゃんが「ほれ見てみい、竹は正直やざ。ごまかしたら最後に出るぞ」って言うてな。うわ、まじか!って思った。
ほんでな、オレ気づいたんやけど、これスコアブックとめっちゃ似とる話やって。
この前、福井商業の練習試合を兄ちゃんと観に行ったとき、4回裏のプレーで「6-4-3のダブルプレー」を書くところ、急いで「6-3」って書いてもうた。セカンド経由が抜けとるやん。あとで見返したとき、あれ?ランナーどこで消えた?ってなって、その回の流れが全然わからんくなった。
竹籠の編み目が1本ズレたら形がゆがむ。スコアブックの記号が1個抜けたら試合の記憶がゆがむ。正確に記録するって、情報を「未来の自分」に届けることなんやなって思ったんよ。
じいちゃんが言うとったんやけど、竹田の竹細工は昔、図面なんかなくて、編み目そのものが「次の人への説明書」やったらしい。ほやほや、編み目を正確につくれば、何十年後に別の職人さんがほどいて構造を読めるんやって。すごない?
スコアブックもおんなじやろ? オレが正確に書いとけば、10年後に見返しても「あの日の4回裏」がちゃんと再生できる。数字と記号っていう小さい情報の粒を、ひとつもこぼさんように並べる。それが竹ひごを1本ずつ丁寧に編むのと同じ作業やって気づいてから、スコアつけるんがもっと楽しくなった。
まあ、興奮すると今でも順番まちがえて「あ、ちゃうちゃう、戻るわ」ってなるけどな……。それも含めて練習やって!
正確さって、めんどくさいもんやない。大事なもんを守るための、いちばん地味でいちばん強い力なんやと思う。じいちゃんの竹ひごも、オレのスコアブックも、そこはおんなじやざ。
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