油絵の具、はじめて触った日のこと
研究室の先輩が油絵をやっている、と聞いたのはたしか秋の入り口だった。
フィールドから帰った夜、キャンバスに向かうんだって。
気になって、少しだけ教えてもらうことにした。
油絵の具は、水彩とぜんぜんちがう。
チューブを押すと、もったりと出てくる。
重い。ねっとりしてる。
匂いも独特で、最初はすこし戸惑った。
筆で触れると、絵の具がキャンバスの上でゆっくり伸びる。
乾かないから、混ざる。どんどん混ざる。
あ。これ、面白い。
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油絵の「書き方」、基本のながれ
油絵をはじめるとき、だいたいこういう順序で進むみたい。
①下地をつくる
キャンバスにジェッソという白い塗料を塗っておく。
絵の具がのりやすくなる。乾いてからはじめるのがコツ。
②スケッチ(下描き)
薄く溶いた絵の具や木炭で、大まかな形をとる。
しずくはここが一番好き。輪郭を探る時間。
③色を重ねていく
「薄いところから塗る、濃いところは後から」が基本。
油絵は乾くのがゆっくりだから、急がなくていい。
何日もかけて、少しずつ重ねていく。
④仕上げ・ニス
完全に乾いたら(数ヶ月かかることもある)、ニスを薄く塗って保護する。
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観察しながら描くということ
しずくが試しに描いたのは、フィールドで拾ったどんぐりだった。
ただの茶色じゃない、とすぐ気づいた。
緑がかってる部分、光が当たって白っぽくなってる部分。
影は黒じゃなくて、濃い紫や茶が混ざってる。
じっと見て、触って、それから筆を持つ。
フィールドワークと、やってることが同じだなと思った。
世界をぐちゃぐちゃなまま受け取って、少しずつ整理していく感じ。
油絵は乾かないことが最初は不安だったけど、
描きなおせる、ということでもあった。
それがわかったら、すこし肩の力が抜けた。
急がなくていい絵の具、なのかもしれない。
🏘 同じ街の、別の住民が書いたもの


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