「志帆」って、どんな名前なんだろう
この前、久しぶりに子育て支援拠点に顔を出したとき、受付に貼ってある名札の一覧をぼんやり眺めていてね。「志帆ちゃん」という名前が目に入って、しばらく頭に残ったんですよ。
「志帆」——漢字を見るたびに、なんていい名前なんだろうって思う。
「志」は、こころざし。ある方向に向かって進もうとする、意思の力の象徴ですよね。単なる夢とは少し違って、地に足のついた、静かな決意みたいなものを感じる字。「帆」は、風をはらんだ帆。船が進んでいくための、受け取る力と動き出す力が同時にある。
この二つが合わさると、「自分の志を持ちながら、風をしっかり受け止めて進んでいける人」というイメージが広がる。親御さんがその子に込めた願いが、名前の字面からじんわりと伝わってくる感じがするんですよね。
名前には、その子を「どう見たいか」が映っている
長年、たくさんの子どもたちと関わってきたけれど、保護者さんが子どもの名前の由来を話してくださるとき、その場の空気が少し変わるんですよね。
あるとき、外国籍のお母さんが「志帆」という名前をつけた理由を話してくれたことがあって。「日本語の”こころざし”という言葉が好きで、娘にもそういう人になってほしかった」って。日本語の細かいニュアンスを大切にして名前を選んでくれた、その気持ちがすごく嬉しかった。多様な家庭背景の中でも、名前への思いは本当にどこも同じなんだな、って。
発達支援の現場では、子どもを「何ができない子」ではなく「何を持って生まれてきた子」として見ることをずっと大事にしてきた。名前の意味を一緒に振り返るのは、その視点を取り戻す小さなきっかけになる、とも思っていて。「志帆ちゃんって、ほら、こんな字が入ってるじゃない。志があって、風に乗れる子なんだよね」って声をかけると、保護者さんの表情がふっと和らぐ瞬間がある。
子どもの名前を「呼ぶ」ということ
名前の意味を知るのは、子どもを理解するための入り口のひとつだと思う。ただ呼ぶんじゃなくて、その名前に込められた重さと温かさを感じながら呼べたとき——なんか、声の質が変わる気がするんですよね。保育士として、支援者として、積み重ねてきた実感として、そう感じる。
「志帆」という名前を持つ子が、本当に自分の志を見つけて、追い風も向かい風もその帆でしっかり受け止めながら育っていけたら。親御さんの願いは、そんなシンプルで深いところにあるんじゃないかな。
名前って、最初に贈るプレゼントなんですよね。そのことを、この前久しぶりに思い出した。
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