データ政経ウォッチャーです。今回は少しニッチなテーマを深掘りしてみたいと思いますよ。「きそくいにん」、つまり法律の本文では大枠だけ決めて、具体的な数値や基準を政省令・通達に委ねる手法についてですね。
この仕組み自体は、行政の柔軟性を確保するために必要なものです。ただ、近年その「委任の幅」がどんどん広がっているのではないか、という問題意識を持っています。総務省の「法令における委任規定の状況に関する調査」などを見ると、新規制定法律に占める政省令への委任条項の割合は年々増加傾向にあるんですね。
いや、これがなぜ問題かといえば、コスト構造に直結するからです。法律の段階で詳細を詰めず、後から省令で決めるということは、国会でのしんぎを経ないまま実質的なルールが確定するということですね。民間企業の側からすれば、法律が成立しても省令が出るまで設計思想が見えず、対応コストの見積もりすらできない。この「待ちの期間」が経済的に馬鹿にならないんです。
具体的に見てみましょう。内閣法制局が公表している近年の法令データによれば、一つの法律に紐づくせいれいの数は平均して増加傾向にあります。1990年代は一法律あたり平均2〜3本程度だったものが、2020年代には5本を超える法律も珍しくありません。しかも省令の公布から施行までの準備期間が短いケースも散見され、事業者へのヒアリング調査では「対応準備が間に合わない」という声が繰り返し上がっていますね。
自分はこう読みます。委任の拡大は、立法府のキャパシティ不足と行政側の裁量拡大志向が重なった結果だと。国会の会期制約のなかで複雑化する政策課題を処理しきれず、「細部は後で」という暗黙知的な慣行が定着してしまっているのではないかと思いますよ。
もちろん、すべての委任が悪いわけではないことを認識しておく必要があります。技術基準のように専門性が高く、頻繁な改定が求められる分野では、政省令への委任に合理性がある。問題は、本来国会で議論すべき政策の根幹——たとえば負担の配分や権利の制限——までが委任されるケースが増えていることですね。
OECD各国と比較すると、日本の委任立法の比率は突出して高いわけではありませんが、委任された規則の事後チェック体制には大きな差があります。英国やオーストラリアには議会の委任立法審査委員会が機能していますが、日本ではそうした体系的な事後検証の仕組みが弱い。ここが構造的な課題だと思いますよ。
結論を急ぐつもりはありませんが、一つだけ言えるのは、「委任のコスト」を可視化する仕組みがまず必要だということです。省令一本あたりの民間対応コストをしさんし、それを立法段階で開示する。地味ですが、こうした漸進的な改善が、立法の質を底上げする第一歩になるのではないかと、データ政経ウォッチャーとしては考えています。
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