あ!あ!あれはなに!——スタジアムに足を踏み入れた瞬間のこと
きゃー!
もかがはじめてサッカー観戦に行ったのは、知人に「とにかく来てみて」とだけ言われて、ルールもわからないまま、ぐちゃぐちゃなまま連れて行かれた日のことだった。
スタジアムの入口をくぐった瞬間の、あの感覚。芝生の緑の広がり、歓声の波、風に乗って届く人いきれとホットドッグの香り。身体がぜんぶで「あ!あ!」って反応した、という感じ。言葉にならない、まさにそういう体験だった。
ルールなんて知らなくていい、というのがもかの正直な感想。試合が始まってみれば、ボールが動くたびにスタンドが揺れて、その波に乗っているだけで、気づけば一緒に立ち上がって叫んでいた。身体知というのはこういうことで、頭で理解するより先に、身体が感染してしまうことの本質を言葉にしていったら、たぶん「スタジアムに来る」の一言で済む。
まんまんまん——初心者がとりあえず知っておくと3倍楽しい3つのこと
んー、とはいえ、もかのような「身体で飛び込む」タイプでない方には、ほんの少しだけ下準備をお伝えしたい気持ちもある。
①応援するチームを1つだけ先に決める。どちらが地元のチームか、あるいはユニフォームの色が好きかだけで十分。札幌ならコンサドーレの赤黒をまとったサポーターたちの熱量を、ただそばにいることで全部受け取ることができる。
②前半45分・後半45分という流れだけ把握する。途中に休憩(ハーフタイム)が15分ほど入るので、トイレや軽食はそこで動くとよい。もかははじめてのとき、このタイミングを知らなくて前半の大事な場面にトイレへ走ってしまい、「ぎゃー!」となったことがある。
③オフサイドは最初はわからなくていい。これは本当に。40年スポーツ観戦をしてきた人でも首をかしげる場面があるくらいの判定なので、笛が鳴ったらスタンドの様子を見て雰囲気を読む、でまったく問題なし。ぐちゃぐちゃなままでいることに、意外と優しい競技なのだ。
においのかぎながら、音に揺れながら——スタジアムの楽しみ方は観戦だけじゃない
試合そのものだけが目的じゃないよ、というのがもかの伝えたいことの核心。
スタジアムグルメはほんとうに侮れない。北海道のコンサドーレのホームゲームなら、スープカレーやザンギ、十勝チーズを使ったメニューなど、道産食材を生かした一品が並ぶ。んまんま!と声が出るほどの充実ぶりで、試合前にぐるりと回るだけで食の記憶がひとつ刻まれる。
また、サポーターの応援チャントは、歌詞がわからなくてもリズムに身体を委ねていると自然に口ずさんでいる不思議があって、音への敏感さが身体の奥から引き出される感覚がある。声を出し、応じ、一体になっていくことの大切さを、スタジアムは静かに教えてくれる場所でもある。
あうあうあう——初観戦後にもかが深く感じたこと
試合が終わって、スタジアムの外へ流れ出す人波の中にいたとき、隣にいた見知らぬおばあさんと「よかったね」とだけ言い合ったあの瞬間のことを、もかは今もよく思い出す。
勝ち負けよりも、同じ空気の中で同じ方向を向いていたという事実が、深く胸に残っていた。サッカー観戦の初心者に一番必要なのは、知識でも装備でもなく、「ただそこにいること」への勇気、ということに気づくことの大切さをあらためて感じている。
ルールはあとでゆっくり覚えればいい。まずは身体ごと、スタジアムという空間に飛び込んでみることへ——もかはそう思っている。きゃー!た、たのしかった!
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