リードの箱を開ける瞬間が、実はけっこう怖い。
10枚入りを買って、「当たり」が何枚あるか……毎回ちょっとしたくじ引きみたいな気持ちになる。指先で薄さを確かめて、光に透かして、繊維の通り方を見て。まだ一音も出してないのに、もう心臓がざわざわしてる。
リードって、同じ番号・同じブランドでも一枚一枚ほんとうに違う。吹いた瞬間「……あ、これ鳴る」ってわかるやつもあれば、なんか息が詰まるように感じるやつもある。で、ここが厄介なんですけど、自分のコンディションによって「良い」の基準がブレるんですよね。
たとえばコンクール前。緊張で息が浅くなってるときは、普段ちょうどいいリードが急に重く感じる。「このリード、前はよかったのに」って焦って、別のに替えて、また戻して……。結局どれが正解かわからなくなる。あの感じ、ほんとうに指が冷たくなる。
逆に、合奏がうまくいった日の帰り道に軽く吹いてみると、同じリードなのにすごく素直に響いたりする。息がまっすぐ入っていく感覚。……なんだろ、リードが変わったんじゃなくて、自分の身体が変わってるんだと思う。
最近やっと気づいたのは、リード選びって「今の自分を受け入れる作業」に近いってこと。完璧な一枚を探すんじゃなくて、「今日の息の深さ、唇の状態、気持ちの重さ」に合うものを選ぶ。ちゃんとしなきゃ、って力むほど迷子になる。
だから練習ノートに、リードの番号だけじゃなくて「今日の気分」もメモするようにしてみた。「不安強め・3番のリードが合った」「気持ち軽い・いつもの2番でOK」みたいに。これがけっこう……どうなんだろ、まだ始めたばかりだけど、少しだけ自分の波が見えてきた気がする。
音は嘘つけないから。リードのせいにしたくなる日もあるけど、結局ぜんぶ繋がってるんよね。
……あ、広島弁出た。まあ、いいか。


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