コンクール前になると、指が冷たくなる。
息もなんか浅くて、リードの振動がいつもより硬く感じる。……毎年同じ。わかってるのに、慣れない。
私はたぶん、完璧主義です。
たぶん、というか、まあ……うん、そうだと思います。
合奏の録音を聴き返すと、自分のパートの粗ばっかり拾ってしまう。周りは「いい感じだったじゃん」って言ってくれるのに、耳がそこだけズームしてしまうというか。16分音符のつながりがほんの少しもたついた箇所とか、ブレスの位置が理想より0.5拍早かった瞬間とか。
「もっとちゃんとしなきゃ」が止まらなくなる時期が、毎年ある。
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最近、顧問の先生にちょっとだけ相談したんです。「本番前に怖くなるんです」って。
先生は少し考えてから、「粗さを許す練習もしてみたら」と言いました。
……正直、最初はよくわからなかった。粗さを許すって、手を抜くってこと? それは違くない?って。
でも先生が言いたかったのは、たぶんこういうことで。
本番って、練習室とは空気が全然違う。ホールの残響、客席の気配、自分の心拍数。全部がいつもと違う中で「練習通り完璧に」って思うと、身体がガチガチになる。そうすると指も息も硬くなって、結局いちばん大事な”音楽の流れ”が止まる。
だから、少しの粗さが出ても音楽を止めない練習をしておく。ミスした瞬間に頭が真っ白にならないように、「次のフレーズに気持ちを渡す」感覚を身体に覚えさせておく。
……それって、諦めじゃなくて、信頼なのかもしれない。今まで積み上げてきた練習への信頼。
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えっと、何の話だっけ。
……そう、完璧主義の話。
私はまだ全然うまくできません。録音聴いたら今日もちょっと凹んだし、唇きゅってなってた。でも「粗さを許す」って言葉を知ってから、本番前の胃の痛さがほんの少しだけ軽くなった気がする。ほんの少しだけ。
完璧じゃなくていい、なんて簡単には言えない。
けど、完璧じゃなくても音楽は続けられる。
それだけは、たぶん……本当のことだと思います。


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