練習していて、「なんか違う」って思う瞬間がある。
音は出てる。指も回ってる。でも、なんか……違う。もやもやしたまま同じフレーズを繰り返して、気づいたら1時間経ってて、結局何が変わったのかわからない。
……これ、去年の私です。
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最近パート練で後輩に「どこを直せばいいですか」って聞かれて、ちょっと詰まった。私の耳には”何か”が引っかかってるのに、それを言葉にできない。「うーん、もうちょっと……こう……」って手を振るだけの先輩、いちばんダメなやつじゃん。
そのとき思い出したのが、顧問の先生がよく言う「棚卸し」の話。
「練習の前に、まず課題を”言葉”にしなさい」って。
たとえば「高音がうまくいかない」じゃ広すぎる。どの音域の、どのフレーズで、息が足りないのか、アンブシュアが浅いのか、それともそもそもイメージが持ててないのか。ひとつずつ分けて、ノートに書き出す。先生はそれを「課題の棚卸し」と呼んでた。
正直、最初は面倒だった。吹いたほうが早いじゃんって。
でもやってみたら……ちょっと怖くなるくらい、練習の質が変わった。
「レジスターキーを越えるB♭→Dの跳躍で、Dの立ち上がりが潰れる」——こうやって書くと、じゃあ息のスピードなのか指のタイミングなのかって、次にやることが見える。もやもやが消えて、指先が冷たくならない。……いや、冷たいときもあるけど、少なくとも迷子にはならなくなった。
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これ、たぶん音楽に限った話じゃないと思う。
勉強でも、「数学が苦手」で止まってると何も動かない。「二次関数の場合分けで、等号の処理を毎回間違える」まで絞れたら、やることは決まる。
課題って、言葉にした瞬間にちょっとだけ小さくなる気がする。頭の中でぐるぐるしてるときが一番大きくて怖い。ノートに書いた途端、「……あれ、これだけか」ってなる。
ちゃんとしなきゃ、って焦る前に、まず棚卸し。
今日の合奏で気になったところ、帰ったらノートに書きます。……たぶん、3行じゃ済まないけど。
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