絵の具が「重い」って、知らなかった
大学の授業で、初めて油絵の具を手にしたんだよね。
水彩やアクリルとは全然ちがう。チューブを押した瞬間、ずっしりとした粘りがあって、指先に乗せてみると、なんかもう素材そのものが主張してくる感じ。キャンバスに筆を当てると、絵の具が紙じゃなくてこっちを選んでいるみたいな、妙な感覚があった。
うわあ…ってなった。
油絵の基本的な流れはこんな感じ。まず下描きをキャンバスに薄く入れる。鉛筆より木炭が使いやすくて、修正も手で擦ればいいからすごく楽。それが終わったら、下塗り(インプリマトゥーラ)として全体に薄い色を一面に置いていく。これで白いキャンバスのギラギラが落ち着いて、絵全体のトーンが決まってくるんだよね。
次に、暗い色から明るい色へという順番で色を重ねていく。油絵って「乾くのを待つ」時間がすごく長くて、最初はそれが焦ったんだけど、むしろ「一度置いたら触るな」っていうこの時間が、絵に深みを出す仕組みだって知ってから、なんか好きになってきた。
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身体が先に知る、油絵の面白さ
描きながら気づいたのは、油絵って「重ねることで生まれる」絵だってこと。
アクリルみたいに速乾じゃない分、色と色が溶け合う瞬間がある。筆でグラデーションをつくると、境界がじんわりとにじんで、硬い線が消えていく。あー、これこれ、って感じた。実家で母がこづゆの出汁を引くとき、貝柱の旨みがじわじわ汁に広がるのとちょっと似てる気がした——素材の時間を待つ感覚が。
使う道具はシンプルで、豚毛のフラットブラシが最初の一本としておすすめ。硬さがあって絵の具の伸びをコントロールしやすい。ペインティングナイフも一枚あると、絵の具を混ぜるのに便利で、マチエール(表面の質感)をつくるのにも使える。ここが手仕事っぽさを一番感じられる部分で、指先でなぞって表面の凹凸を確かめたくなる、あの癖がそのまま出てくる。
溶き油は最初はリンシードオイルだけでOK。絵の具を溶かしすぎると後々ひび割れの原因になるから、少量ずつ使うのがポイントだよね。
描き終わった後、乾燥した画面にうっすら手をかざしてみると、自分が重ねた時間の厚みが伝わってくる気がして——言語化むずかしいけど、それが好きなんだよね。
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