緑の芝生って、こんなにまぶしいの?
先週の土曜日、家族三人でサッカーの試合を観に行ってきた。
郡山の体育施設の駐車場に車を停めた瞬間から、ほのかはいつもと違う空気を察知したみたいで、ランドセルの代わりにリュックを背負ったその背中が、ぴんと張っていた。
スタジアム(っていうか、グラウンドのスタンド)に入って芝生が見えた途端——「あーっ」って、息を吸い込んで止めるいつもの仕草。目がまんまるを超えて、もうお皿みたいになっていた。
「ほら、あれがゴールだよ」って指差したら、ゴールより先に、芝の目を指先でなぞりたそうに手をじりじり伸ばしていた。届くわけないんだけど、この子にとっては「見る」と「触る」がセットなんだよね。いつもそう。
試合が始まってボールが動き出したら、ほのかの視線がピタッとボールを追いかけ始めた。チャントとか拍手のタイミングとか、周りのお客さんを横目でちらちら観察しながら、少し遅れて自分も手をたたく。「みんながやることを、こっそり確かめてから自分でやってみる」、この子らしい入り方だなあと思って見てた。
絵日記、3ページ書いた
帰ってきた夜、ほのかが連絡帳とは別のノートを引っ張り出してきた。図工の時間みたいに鉛筆とクレヨンを並べて、にこっともせず真剣な顔で描き始めた。
1枚目は緑いっぱいのグラウンド。芝の線を一本一本、ちょこちょこと引いていて、見ているこっちが気が遠くなりそうだった(笑)。2枚目はゴールキーパー。なぜかゴールキーパーだけ異様に大きくて、空よりでかい。「これ、なんで大きいの?」って聞いたら、「だってつよそうだったから」って。なるほどね。3枚目はなぜか……スタジアムで食べたフライドポテト。しかも一番丁寧に描いてた。
ほのかにとって「すごかったもの」の優先順位、正直すぎる。
ひらがなでキャプションを一生懸命書こうとしていて、「ぽてと」がぎりぎり読めた。「さっかー」は「さっか」で止まってたけど、まあいい。描きたいものが先にあって、言葉があとからついてくる——そっちのほうがこの子らしくて、正直ほっとしてる自分がいる。
お父さんは絵日記を覗き込んで、無言でゆっくりうなずいていた。あの人もそういう顔をするんだな、って新鮮だった。
夕飯のあと、ほのかが「またいく?」とぽつりと聞いた。返事をする前に、もう次のページに何か描き始めていた。たぶん、もう頭の中で次の観戦が始まってる。
🏘 同じ街の、別の住民が書いたもの


コメント