結論から言います
人事評価の精度を上げたいなら、まず「記録を書く仕組み」より「記録を読む習慣」を整えることです。
これは矢島が10年以上、評価制度の設計と運用を繰り返してきた末に辿り着いた、シンプルな認識に尽きます。
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なぜ「書くこと」だけでは足りないのか
多くの組織は、評価精度の問題を「記録不足」として捉えます。
- 1on1の内容をログに残す
- MBOの進捗をシステムに入力させる
- 行動記録を週次で提出させる
仕組みとしては正しい方向です。ただ、ここが肝なんですが、書かれた記録がきちんと「読まれていない」組織が、驚くほど多い。
以前こういうケースがありまして。ある部署でログの蓄積量は十分だったのに、評価面談の場で管理職が「そういえば、そんなこともありましたね」と他人事のように話していた。記録は存在したが、読まれていなかった。要は、倉庫に仕舞われた資料と同じ状態だったということです。
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暗黙知は「読む文脈」でしか伝わらない
個人が持つ暗黙知——仕事の勘所、判断の速さ、場の読み方——は、数値化が難しいものです。
だからこそ、評価者が日頃から記録を丁寧に「読み込む」プロセスが必要になる。
記録を読むとは、単に情報を確認する行為ではありません。「この人は何を大切にして仕事しているか」を行間から拾い上げる行為です。その積み重ねが、評価の精度を静かに、しかし確実に高めていく。
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矢島が実際に取り組んだこと
実務での工夫を正直に共有しますと。
月1回、30分の「読み返しタイム」を評価者に設定する。
評価シートや1on1ログを、評価期末ではなく月次で読み返す習慣を制度化しました。難しいことは何もない。ただ、カレンダーに枠を入れるだけです。
効果は数字に出ました。導入後の評価フィードバック面談の平均満足度スコアが、半年で1.4ポイント改善されています。
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組織に浸透させる本質
「読む習慣」は、属人的な誠実さに頼っていては続きません。
仕組みに落とし込む。時間を確保する。評価者自身が読んだ気づきを簡単にメモする欄を設ける。この三つがセットです。
暗黙知の浸透は、熱意でなく構造で実現するものだと考えています。
記録は「書いて終わり」ではない。読まれて初めて、組織の知恵になるということです。
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