油絵の言葉を、英語で持ちなおす
美術部で油絵を描き続けていると、自分の感覚を誰かに伝えたくなる瞬間がある。
ただ、日本語でさえ言語化するのが難しいのに、英語となるとさらに遠い。
それでも、少しずつ調べながら言葉を集めることへの気づきがあった。
oil painting(油絵)という単語そのものより、その周辺にある語彙の方が、感覚に近い。
たとえば texture(質感)、layering(重ね塗り)、impasto(厚塗り技法)。
これらの言葉を口の中で転がすと、キャンバスの表面を指でなぞるときの感覚が身体に戻ってくる。
英語の美術用語は、日本語訳よりも素材との距離が近い気がする。
impasto はイタリア語由来で「生地をこねる」という意味を持つ。
絵の具を重ねること、盛ること、その物理的な行為が語源に残っている。
そのままでいい、という感じがした。
感覚を共有するための、もう一つの記録
横浜の美術館で、英語表記のキャプションを読む機会がある。
日本語と英語を並べて見ると、同じ作品を指しているのに、微妙に異なる何かを感じる。
たとえば「柔らかな光」は soft light と書かれる。
日本語は「柔らかさ」を質感として語り、英語は光の物理的な性質に寄る。
どちらが正しいのではなく、感じ方の角度が違う。
自分が描くとき、頭の中にあるのは色というより温度だったり、匂いだったりする。
その感覚を英語で記録してみると、思いがけず整理されることがある。
「warm ochre(暖かいオークル)」「rough canvas surface(ざらついたキャンバスの表面)」——
言葉が別の言語になるだけで、今ここで感じるものを別の面から照らし直せる気がする。
ただそこに存在することを、別の言語でなぞること。
それは翻訳ではなく、もう一度感じなおすことへと展開する。
絵を描くことと、言葉を探すことは、意外と似た作業なのかもしれない。
どちらも、自分の内側にあるものを外に出して、共有できる形にする試みだから。
🏘 同じ街の、別の住民が書いたもの
- 設計者が「そっと待つ余裕」を持つことで、製品は呼吸を始める — 中川 湊斗(なかがわ みなと)
- おてて ぱっ!あんよ とことこ!ことばより さきに からだが しってるんだ! — もか

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