ねぇねぇ、きいて!
きのうね、おかあさんと小樽のうみいったの!
もう夏おわっちゃうから、さいごだよって言われて、なまらうれしくて朝からぴょんぴょんしてた!
でね、すなはまついたらね、ぼく、すぐしゃがんだの。
なんでかわかんないけど、手がさきにうごいちゃったの。
さらさらーって砂をすくって、ぎゅーってにぎって。
指のあいだからぽろぽろ出てくるのが、なんか……すっごいよかったの。
それでね、気づいたらお山つくってた。
「つくろう!」って思ったんじゃないよ?
手がかってにやってたの。ほんとだよ!
あのね、おとうさんの工房でもおんなじことあるんだ。
おとうさんがカンナでシャーッてやるとき、「よし削るぞ」とか言わないでしょ?
手がもう知ってるんだって。木のかたちを。
ぼくのお山はね、さいしょちっちゃかったのに、どんどんおっきくなって、トンネルもほったの!
ぐにゅーって指つっこんだら、むこうがわからおかあさんの指がきて、「わぁ!」って会えたの。
すごいすごい! トンネルのなかで指がとーちゃんこしたの!
でね、となりにいたお姉さんがね、貝がらくれたの。
ぼくのお山にかざっていいよって。
うれしくて、てっぺんにさした。お城みたいになったっしょ!
かえるとき、なみがきてお山ぜんぶくずれちゃった。
ちょっとかなしかった。くちびるぎゅーってした。
でもね、おかあさんが言ってたの。
「そうちゃんの手がおぼえてるから、またつくれるよ」って。
……うん。ぼくの手、おぼえてる。
砂のさらさらも、ぐにゅーも、貝がらのつるつるも、ぜんぶ。
あのね、ものづくりってね、あたまじゃないんだよ。
手がさきに「やりたい!」ってなるの。
それがね、ほんとのはじまりなんだと思う。
……たぶんね!
おとうさんにこのはなしした。
おとうさん、なんか目がうるうるしてたけど、なんでだろ。
「おまえもう職人だな」って言ってた。
しょくにん、ってなに? でもなんかうれしかった!
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