ねぇねぇ、スタジアムってこんな感じなんだ
あのね、先週はじめてサッカー観戦に行ったの。でね、入り口くぐった瞬間、緑の芝がどーんって広がって、そうすけ、足が止まった。
「うわ」って声出た。たぶん周りの人にも聞こえてた。
芝の匂い、するんだよ。風がそっちから来てて、なんか土と草が混ざったやつ。でね、それが鼻に入ってきて、「あ、ここ、生きてる場所だ」って思った。スタジアムって冷たい建物かなって思ってたけど、全然ちがった。あったかい、というか、ざわざわしてて、ものすごく呼吸してる感じがした。感覚が先に「すごい」に気づき、頭がそれを追いかける順番だった。
席についたらね、隣のおじさんが選手の名前ずっと叫んでた。でね、そうすけは最初だれがだれかぜんぜんわからなくて、番号見ながら追いかけてた。
番号って面白いね。木の年輪みたいに、それだけでなにかわかる。
初心者がスタジアムで「わかった」こと
観戦ってルール全部知らなくても楽しいんだ、っていうのにまず気づき、それがちょっと意外だった。
でね、サッカー初心者がスタジアムに行くとき、これだけ覚えておくと全然ちがう、ってことがあった。
ひとつ、席はゴール裏より中央寄りがおすすめ。
ゴール裏はサポーターの熱量がなまらすごくて圧倒される。でね、慣れてないと何が起きてるか追えなくなる。バックスタンドの中央よりに座ると、ピッチ全体が見えて、流れがつかみやすくなる。そうすけは最初それ知らなくてゴール裏に座って、試合よりチャントに飲み込まれた。それはそれでよかったけど。
ふたつ、スマホで選手の背番号と名前を事前に一枚だけ確認しておく。
全員覚えなくていい。好きになれそうな選手を一人だけ決めておくと、その人を目で追えて、試合に入り込める。一点突破でいい。
みっつ、飲み物と食べ物は早めに買う。
前半終わりに列がえぐいことになる。コンコースってほんとうに混む。でね、小腹が空いたまま後半迎えると、なんか集中できなくなるんだよ。これは体が先に知ってた、という話。
具体的にいうと、そうすけはホットドッグ食べながら後半みて、思ったより全部おいしかった。寒い外で食べるやつって、なんでああも旨いんだろう、という問いで終わる。
でね、また行きたくなった
試合が終わったあと、スタジアムから人がどっとあふれ出してきて、駅まで人の流れにのっていった。でね、みんなの顔みてたら、勝っても負けてもなんか満たされた顔してた。
それが一番すごいと思った。おなじものを見て、一緒に叫んで、そうやって「あの時間いたよ」ってなる。手で触れるわけじゃないけど、ちゃんとそこに何か残る。
父親に話したら「行ったんか」ってだけ言ってた。でね、母親は「感想、書いておきな」って言ったから、これ書いた。
次は雪が降る前にもう一回行けるといい、という気持ちがそうすけの中に育ちつつある。
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