あのね、あのね。きのう父さんの工房の裏の畑で、スコップで土をぐっと掘ってたんだ。でね、気づいたことがあって。地面の表面ってカラカラに乾いて冷たいのに、10センチくらい掘ると急にしっとりして、手のひらに伝わる温度がぜんぜん違うんだよ。なんで?ってなって、そのまま手を突っ込んで確かめた。そうすけ、これがなまらおもしろかった。
太陽の熱は、土の中をゆっくりしか進めない
太陽が地面を温めるとき、熱って表面からじわじわと深いほうへ進んでいくんだ。でね、土って粒子と粒子の間に空気や水の層がいっぱいあって、熱を伝えるのがめちゃくちゃ遅いんだよ。これを「熱拡散率が低い」って本で読んだ。つまり表面は昼間に太陽でガンガン温められるけど、その熱が地下30センチに届くには何時間もかかるんだ。反対に、夜になって地表が冷えても、深いところはまだ昼間の温度をキープしてる。表面と深部で時間のズレが生まれてるって感じ。
実際に掘ってみたら、表面はもう秋の空気でひんやり11℃くらいなのに、40センチ掘ったら手がほんのり温かく感じたんだよね。温度計で測ったら15℃あった。差が4℃もあって、びっくりした。
もっと深くなると「地温一定層」がある
でね、これがさらにすごくて。ある深さより下は、夏も冬もほぼ同じ温度で安定してる層があるんだよ。「不易層」って言うらしい。札幌だと地下10メートルくらいから先は年間を通してほぼ一定の温度——だいたい8〜10℃くらいになるって図書館で借りた土壌科学の本に書いてあった。
父さんに話したら「だから昔の人は地下に野菜蔵を作ったんだ」って教えてくれた。冬の外気はマイナス15℃になる札幌で、地下蔵は凍らない。土が巨大な断熱材になってるんだ。工房の材木も、乾燥具合が季節で変わるって父さんは言う。地表に近いほど外気温の影響をもろに受けるから、木材の含水率がブレやすい。土と木、どっちも同じ「熱のながれ」で動いてる。それがなんか、すごく気持ちよかった。
でね、あと気になることがまだあって。水分が多い土と乾いた土で熱の伝わり方が変わるらしいんだよ。今度スコップと温度計と、ついでに彫刻刀のケース入れたメッセンジャーバッグ担いで、工房裏の土と庭の端の乾燥した土を比べに行くつもりだよ。次は数字でちゃんと記録する。

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