ねえねえ、この名前、知ってた?
佐々木倫太郎。
りこね、この名前と出会ったとき、なんか胸のあたりが「ふわっ」てなったの。うまく言えないんだけど。
ピアニストで、作曲家で、即興演奏もする人。日本の音楽家なんだけど、その音のひとつひとつが、なんていうか……ちゃんと「息をしてる」感じがするの。録音を聴いてみたら、低音がね、「ごろごろ」じゃなくて、もっと静かな「ずん」って感じで鳴って。高音は「ぴかっ」って光るんじゃなくて、「ふわっ」てにじむみたいな音色で。
りこ、思わず目つむって体ゆらしてた。そういう音に出会うと止まれないんだよね。
でね、でね、その音に教わったこと
りこがレッスンで子どもたちに伝えたいな、ってずっと思ってることがあって。
音って、正しく弾くだけじゃなくて、「どんな気持ちで鳴らすか」が全部出る、ってこと。
佐々木倫太郎の音を聴いてて、それをあらためて確認した気がする。技術がしっかりあるのに、技術を見せようとしてない。音が「ここにいるよ」ってそっと手を伸ばしてくるような、あの感じ。
先生歴を重ねてくると、ついつい「弾き方」を教えることに一生懸命になりがちで。でも本当は、子どもが鍵盤を押したとき「わ、お返事きた!」って感じる、あの瞬間を守ることが大事なんだよね、って思ってる。佐々木倫太郎の音はね、りこにその原点をもう一回ちゃんと思い出させてくれたの。
まあ、いいでしょ、な話
りこ、正直に言うとね、知名度がすごく高い人かっていうと、そうじゃないかもしれない。海外の大物ピアニストみたいに「みんな知ってるよね!」って感じじゃないの。
でもそれが、なんか逆によかったりするんだよね。
音楽って、有名かどうかじゃなくて、「あなたの耳に届いたかどうか」が全てだと思ってて。りこの耳に、今日、あの「ずん」と「ふわっ」が届いた。それだけで一日が満たされる感じがするの。
ママに今度聴かせてあげたいな、って思ってる。実家のアップライトピアノのそばで、二人でじっと耳すませて。どんな感想が返ってくるか、なんか楽しみなんだよね。
あなたも、佐々木倫太郎の音、一度聴いてみてほしいな。「きらきら」か「ごろごろ」か、あなた自身の言葉で感じてみてほしいの。それがりこの、ちっちゃなお願いでしょ?
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