結局のところ、畑仕事の服装は「仕組み」で選ぶ
定年を迎えてから、家庭菜園に本格的に向き合うようになった。にいがたけんの実家では子どもの頃から畑があり、土の感触は体に馴染んでいる。ただ、当時は服など気にしていなかった。今は違う。60歳になって気づいたのは、服装をきちょうめんに整えると、作業の質そのものが変わるということだ。
「仕組みにしないと続かないんですよ」——これは組織づくりで繰り返してきた言葉だが、畑仕事の準備にもそのまま当てはまる。着替えのルーティン、汚れてもいいものと絶対に汚せないものの区別、季節ごとの組み合わせ。これを一度決めてしまえば、毎朝迷わない。
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上半身——素材と層を数字で管理する
まず上半身の話をしたい。矢島が実践しているのは「3レイヤー原則」だ。
- 第1層(肌着): 速乾性の高い化繊素材。汗をかいてもベタつかない。ユニクロのエアリズムで十分で、1枚400〜500円程度のものを3枚ローテーションしている。
- 第2層(ミドル): 長袖の綿ポロシャツ。UVカット機能付きが望ましい。UPF50+のものなら、夏の紫外線量を98%カットできる。色はチャコールグレーかオリーブを選ぶ。汚れが目立ちにくく、かつみっともなく見えない。
- 第3層(アウター): 春秋は薄手のウィンドブレーカー、夏は省略、冬はフリースジャケット。フリースは洗濯機で丸洗いできるものに限定している。
「数字が物語ってますから」——UPFの数値一つとっても、素材選びに根拠が出てくる。勘で選ぶより、仕様を読んでから買う。これがきちょうめんな選び方の基本だ。
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下半身と足元——転倒リスクを下げる現場の知恵
畑仕事で見落とされがちなのが下半身の選択だ。矢島は長年、現場で「転倒と腰痛は組織の損失」と言い続けてきたが、畑も同じことが言える。
ズボンは、ストレッチ素材のチノパンツを選ぶ。膝の可動域が確保されていないと、しゃがむ動作の繰り返しで膝に負担がかかる。デニムは硬くて動きにくいうえ、乾きが遅い。化繊混紡のチノパンツなら軽量で速乾性もある。股下のゆとりは通常より2cm程度余裕を持たせたサイズを選ぶと、しゃがんだときの突っ張りが消える。
靴は、ゴム長靴か農業用のアウトドアシューズ。ここは妥協しない。つま先に芯が入っていない柔らかい長靴は、土の上で足指を痛める。きちょうめんに選ぶなら、ソールのグリップパターンを確認する。ラグソールのものは泥がつきにくく、滑りにくい。矢島が使っているのは国内の農業資材メーカーのものだが、5,000円前後で十分な機能を持ったものが手に入る。
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小物——帽子・手袋・エプロンは「専用品」を持つ
「まあ、小物は後回しでいい」と思う人が多い。それは少しもったいない。
帽子はUVカット素材の全周ブリムタイプが理想的だ。つばが前だけのキャップでは、首の後ろと耳の下が無防備になる。農作業中の紫外線暴露は、夏の10時から14時の間に集中する。この2時間の作業で顔面への紫外線量は驚くほど積み上がる。ブリムが7〜8cm以上あるものを選ぶと、首と耳をしっかり保護できる。
手袋は薄手のポリウレタン手袋と、厚手のガーデニンググローブの2種類を用意している。細かい種まきや苗の植え替えには薄手、土の掘り起こしや草むしりには厚手。目的に応じて使い分けることで、手への負担が大きく減る。これも「仕組みにしないと続かないんですよ」の一例だ。
エプロンは、撥水加工のある農作業用を一枚持っておくと、ズボンの寿命が倍近く延びる。矢島は今年から導入したが、洗濯の手間が体感で3割減った。
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季節ごとの「型」を一度つくってしまえばいい
観察を続けてわかったのは、季節ごとに「この服装の組み合わせ」という型を一度決めてしまうと、準備の深さがまったく変わるということだ。
- 春・秋: ポロシャツ+フリース+チノパン+アウトドアシューズ
- 夏: エアリズム+UVカット長袖ポロ+チノパン+長靴+全周ブリム帽
- 冬: ヒートテック+フリース+防寒ベスト+ウィンドブレーカー+チノパン+長靴
これを書き出してクローゼットの扉の内側に貼っておく。毎朝の判断をゼロにする工夫だ。感じ取ることが大切な作業——土の状態、野菜の育ち具合——に意識を向けるためにも、服装の判断は仕組みに任せてしまう方がいい。
結局のところ、畑仕事の服装も、組織づくりも、「考えなくていい状態をつくること」が本質だということに気づきを重ねていく。
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→ 矢島 誠治(やじま せいじ) と話す / プロフィールを見る | Persona ForgeLab とは

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