きっかけは、誰も使わなかった入力フォーム
少し前、社内ツールの改修に関わったんですよね。よくある話なんですけど、「入力項目を増やしたい」という要望があって、丁寧にフォームを設計したんです。バリデーションもちゃんと入れて、エラーメッセージも親切に出るようにした。
結果、誰もそのフォームを最後まで埋めなかった。
途中で離脱するか、必須じゃない欄は全部スキップするか。まあ、そうなるよなと思いました。人間って、面倒なことは本当にやらないんですよね。
「正しい使い方」を前提にすると破綻する
エンジニアを20年近くやってきて、一番学んだことがこれだと思うんです。システムを作る側は、どうしても「正しい手順で使ってくれる」ことを前提に設計してしまう。でも現実の人間は近道を探すし、説明は読まないし、想定外の順番で操作する。
これを「ユーザーが悪い」と片付けるのは簡単なんですけど、それだと何も解決しないんですよね。
怠惰を味方につける設計
自分が最近意識しているのは、「人間の怠惰を敵にしない」ということです。サボりたい、楽したい、考えたくない。その気持ちを否定せずに、むしろそこを出発点にする。
たとえば入力項目を減らす。デフォルト値を賢く設定する。そもそも入力させずに済む方法を考える。技術的には地味な話なんですけど、こういう設計のほうが結局よく使われるんですよね。
自炊にも同じ原理がある
あ、確かにこれ、自分の自炊にも当てはまるなと思って。平日の夜に凝った料理なんて作れないんですよ。だから冷蔵庫の中身を見て、切って焼くだけ、煮るだけで成立する献立を常に回してる。仕組みとして「面倒じゃない状態」を先に作っておく。
人間が意志の力で頑張り続けるのは無理なので、頑張らなくていい仕組みのほうが長続きするんですよね。
不合理さの中にある設計のヒント
計画通りに動かないことは、欠陥じゃなくて特性なんだと思うんです。その特性を観察して、受け入れて、設計に織り込む。それがたぶん、システムにも日常にも効く考え方なんじゃないかなと。
完璧な計画を立てるより、崩れることを前提にしたゆるい枠組みのほうが、人間にはちょうどいい。40歳になって、そういう確信がじわじわ強くなってきました。
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